精油ガラス瓶から生まれたアロマアクセサリー

アロマセラピーで用いられる精油(エッセンシャルオイル)は、光に弱い性質を持っています。また、植物の種類によってはプラスチックの容器を溶かしてしまう性質があるため、必ず遮光のガラス瓶に入れられています。使用した瓶は香りやエッセンシャルオイルが付着してしまうため、リサイクルをするのが難しい場合があります。精油の瓶は中身をアルコールで拭き取った後、リサイクルに出すのが理想です。しかし手間がかかる上、中身を完全に拭き取ることができない場合、他のガラスと一緒にリサイクルするのが難しくなってしまいます。当店のお客様でも悩んでいた方が多く、ガラス瓶の回収を始めると１年で134本がお店に戻ってきました。

アロマセラピストは、植物に関わる仕事です。ガラス瓶に入っている精油という液体は、主に圧力や水蒸気を使って濃縮・抽出された植物の成分です。精油はワインと似ており、その年の天候の影響を受けます。天候により香りが変わるのです。香りの違いを楽しむことは、アロマセラピストとして毎年の楽しみとなっています。10年間アロマセラピストとして活動してきた中で、環境の変化や植物を絶滅から保護するために、精油へ加工することが許されなくなった植物も出てきました。その現状があり、「植物や環境を守るためにアロマセラピストとしてできることはないのか」と考え始めます。

回収して手元に戻ってきたガラス瓶を手に取った時、こう思いました。「香りに関わっていたガラス瓶。せっかくならば、また香りに関わるものへ新しく生まれ変わらせたい。」アロマセラピーを身近に感じてもらいやすいもの。そしてクリニカルアロマセラピストとして、アロマセラピーを健康的に使いやすく。この思いを２つ合わせたら、アロマアクセサリーというアイデアが閃きました。

ガラスを手作業で割り、800℃の熱を加えて安全に加工しています。すべてのフォルムが違うガラスとの出会いは一期一会です。シンプルにガラスを使った「Re glass_リガラス」、香りを持ち運ぶことができる「Aromatic plants_アロマディックプランツ」の２種類を作りました。ガラスを作る工程やアクセサリーになるまでの細かいガラスの加工まで、全てアロマセラピストによる手作業で作られています。

香りを持ち運ぶことができる「Aromatic plants_アロマディックプランツ」は、植物モチーフの刺繍部分に香りが入ります。香りを持ち運ぶアクセサリーは既存のものがありますが、ほとんどがアクセサリー本体に香りをつけるものばかりです。精油は酸化と呼び、酸素に触れると腐敗していきます。アクセサリー本体に香りをつけてしまうと、交換ができないためどうしても鮮度の良い香りは持ち運ぶことができません。香りの専門家が作るアロマアクセサリーは、香らせ方に一番こだわりたい。その思いから検証を繰り返しました。このアロマティックプランツは、アクセサリーに直接精油をつけず、刺繍の糸の部分に香りを移す方法で香りを持ち運びます。この方法で香りを移すと、ほのかに香る素敵な香りが持ち運べます。そして香りの種類を変えるのも簡単です。既存のアクセサリーではできなかった「今日はラベンダーで明日はオレンジの香り」という香りの切り替えができます。アクセサリー自体が長持ちする秘訣です。お試し用の精油と、香りを移すためのガラス容器までセットとなっており、そのままアロマセラピーを始められるようになっています。付属の紙やティッシュ１枚を落いて、精油を１～２滴つけ、ガラス容器の中に１晩密閉しておくと翌日香りが楽しめます。香る長さは精油の種類によって異なりますが目安は３時間ほど。朝にさわやかな香りをお楽しみください。